儒教をかじってみて、
「だれもが聖人になれる」と説いたのが儒教であるとすれば、それはそれで素晴らしいなという感想を持ちました。
その儒教を理論体系化したのが朱子学であるので、同じく「努力すれば聖人になれる」部分は引き継いでいるでしょう。陽明学も基本的に同じで、細部の構築の仕方に差があるのではないのか。
ところで80年代後半にガイア理論などのニューサイエンスが流行りましたね。その中で「トランスパーソナル心理学」なるものに当時興味を覚えたものです。うろ覚えながら、そこでは人間の基準点を凡人ではなく聖人(例えばキリストあるいは仏陀)にすることで、現代に生きる我々の位置を計ることができるという説を大変面白く感じました。
聖人(例えばキリストあるいは仏陀)を100とするのではなく0に置く視点。新しいですね。
聖人を100とするならばその存在は遥か遠くに感じられます。一方0におけば私はマイナスいくつかとなるでしょう。しかしながら0ならば神だと崇めなくてもよく、人間としての私と地続きに感じられる・・・そう思いませんか?
人間としての能力、例えば脳細胞をフルに使う(現在の人間は脳の何十パーセントしか使っていないという)ことができれば、人間は神の領域にも肉薄できるとも読めます。
また、「悟り」というスイッチを入れることができれば、だれでも聖人になれるということかも知れない、と思ったりします。
儒教が説く「聖人」とトランスパーソナル心理学が説く「聖人」が同一とは言えないでしょうが、私の中では奇妙につながりました。
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『孔子』より『老子』の方が断然いかしてた。『TAO(タオ)』ならば今世紀にも通用する思想だとは確信していた。それは今も変わらないが・・・
『朱子学』は宋の朱熹(しゅき)さんが元になった『儒教』の新潮流だったが、江戸時代には幕府によって大きく取りいれられた思想だという。『朱子学』のみの強制があったのではなく、太平天国の世には『禅』や『浄土教』などさまざまな主義主張があったようだ。幕府は嫌ったが『儒教』の一派『陽明学』もあった。
『朱子学』は誰でも聖人にばれると説く。ただ実際には庶民がそれに到達する道は開けてなかったという。『陽明学』の方は聖人になれるのを前提にしていると言うから、幕府は恐れたんでしょうね。でも『朱子学』が生まれてなかったら『陽明学』もなかったでしょう。
中国国内での思想変遷の『朱子学』の位置づけは、どうであったのか。『儒教』のどの派より論理性に優れていたのは間違いなかったと思うが、なにより科挙の制度の中で『儒教』は重要であったのでみんな『朱子学』も勉強したんだと思う。
日本では科挙は導入されなかったので、『朱子学』が武士以外の文化人にも教養として広がったよう。武士は『義』とか『礼』とか『忠』などが殿に使える身として必要不可欠だったので、各藩ではその習得を勧めたでありましょうな。ということで江戸時代には『儒教』の中で『朱子学』が日本人の思想形成の一部分になっていったのだろう。
江戸時代の『医』香川修庵は、『儒医一本論』など唱えており 諸説ある書籍の中から『論語』と『傷寒論』のみを勉学したようだ。あとは邪として捨て去った。このふたつにはそれくらいの深みがあるということ。
⁂
数冊の儒教関連(「医学と儒教」人文書院、「江戸の朱子学」筑摩書房、「NHK 知るを楽しむ 漢方なるほど物語」)の本を読んだくらいでは大したことは理解できなかった。『気』と『理』についての理解なんてほとんどないです。ただ、現代にも通用する何かが潜んでいるように思えてならない。
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]]>30代から中国古典医学の「漢方」に興味があり学んで来ていますが、私の志向している漢方は「古方(こほう)」というものです。現在の漢方は「中医学」が主流だと思いますが、江戸時代中期に名医を続出していた学派です。
「漢方」と呼ばれればどれも同じように感じますが、当の本人は他との差を自覚しながら学んでおります。そうであるがゆえそのいわれも知りたくなります。
江戸時代の中期に「古(いにしえ)に帰れ」という風潮ありました。それまで中国大陸から入って来た”漢方”の中から漢方成立時の聖典「傷寒論(しょうかんろん)」に忠実な一派ができ、それが「古方(こほう)」派と呼ばれました。現在私が学んでいるのはそれです。
奈良時代に僧侶がもたらした「漢方」ですが、その時点で当の中国では五行説などを取り入れた学派も生まれおり、いろんな学派がない交ぜ状態で日本に輸入されたと思われます(仏教が日本に入った時点で小乗仏教ではなく大乗仏教であった点と似ています)。それが江戸中期に洗い直されたのです。
なぜ江戸中期の人々が「原点回帰」に至ったのでしょう。
(先に、同じ漢方を学ぶ人の小論で江戸中期のこの現象や本居宣長の解説を読んだたこともあり「国学」であったり「古学」であるとか、また「朱子学」に興味が広がる)
宋時代に孔子の「儒教」を独自に分析した朱熹(しゅき)の「朱子学」が江戸期日本にも導入されていていました。それが主流になると朱熹の思想を取り除いたオリジナルの孔子の趣旨を直接読み取ろうとした一派が現れたということのようです。(江戸時代の医者の多くが「儒医」であったのは、漢文が読めたからです。学びの基本の孔子の「論語」つまり「儒教」であったでしょう)
「国学」もその影響を受けて、中国大陸の影響(唐心・からごころ)を排した日本オリジナルの心・思想を追求するようになっていったのですね。混じりのないものを飲みたい欲求はたしかに生まれます。
一方、今回いろいろ調べて知って驚いたのは、混じったものの代表「神仏習合」以外にも「神・儒」が一体になったり「仏・儒」や「神・仏・儒」が一体になったりしていた歴史があったことです。混じっていたのですね。「禅」にはすでに「道教」が混じっているから、さらに複雑です。
「混じったものを分離したい」「混じったものの中から出発点を探りたい」「混じったもので見えなくなったものがある」「オリジンを知りたい」という本質は、真理は何かを希求するからでしょう。
これを現代に当てはめることはできないか?
世の中は「複雑系」で溢れ、またどの分野も専門性が高くなったゆえ「細分化」されてきています。医学においては「IPS細胞」や「遺伝子解析」技術、ITにおいては「AI」や「量子コンピューター」などが日進月歩で開発されています。
しかし、私には自然界の存在する生身の人間そのものが、なおざりにされている感じを受けます。
部分でのみ技術開発が進み、全体を総括する、俯瞰して答えを求める、という本質が忘れ去られている・・・そこが「幸福」に繋がるのに深めようとはしない。「いにしえ」はそれを顕しているのはないか・・・
この地球に住む人間にとって「本当のものは何か」という問いの仕方を「古学」は教えてくれているのではないか、と思うのです。
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日本人の成人男子の精子の数が著しく少ないと。
人が受精するためには、男性の精子数が1億匹は必要とされていますが、
この年のデータでは20代の精子数は約3000万匹以下と測定されたそうです。
これでは女性側に問題がなくても受精〜妊娠へ至る確率は低くなります。
2023年に時の総理が「異次元の少子化対策」ぶち上げた。
その内容は旧来から言われた来たことの焼き直しに過ぎない内容でしたが、
政府がそれに乗り出さないといけないくらい、日本の出生率の低さは当時から問題だったのです。
晩婚化、所得の低さ、教育費の負担、育児分担の不平等、生活スタイルの変化、
女性の意識の変化、草食性男子の出現などなど指摘されている課題解決は難題でした。
しかし、個人では解決できない問題も多いため政治の働きが期待されのです。
30年後のデータは何を物語っているか。
研究機関の報告はこうだった。
「食品添加物と残留農薬が人の遺伝子レベルに及び、精子数を減少させている」
昔から世界水準からして日本人が一日に摂取する食品添加物の量は群を抜いて多かった。
また、農薬の使用量もトップクラス。
食料自給率が低いため輸入食品のポストハーベスト問題も指摘されていたし、
海洋資源の放射能測定値も年々高くなりつつあった。
農林水産省は、毎度「 健康に問題を及ぼす量ではない」と
喧伝していたが未来の累計までは試算しようとはしなかったのです。
つまり、経済優先の政治体制では各種業界の利益を優先する政策が当たり前だったのだ。
ジャーナリズムや科学者は、問題を甘く見ていたと言えるでしょう。
細胞や遺伝子に蓄積される化学物質が、出生率に影響を与えるとは思わなかったのです。
同じく水や空気も汚染されているかも・・・
このままだと日本の人口は減り続けること必須。
望んでも子供を授かることができない社会”日本”。
せめて30年前の2023年に、このことに気づいて手を打ったならば
結果は違ったかも知れません。
”タイムマシンにお願い”するしかない。
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今までそんな感じて来ていた。
たまたまトイレで読む本が切れたので、書棚にあった古い本を引っ張り出してみた。
(用を足すのに時間がかかるので読書ができるのだ。最近は話題の新書を持ち込むことが多かった)
目を通してみると始めて読んでいる気になった。
(断片はどこかおぼろげに記憶はあるのだが、文章の前後関係は覚えていないので新鮮だ)
不勉強な自分ゆえページをめくることで新たな視点や史実を学ぶことができるので、まだ手に取っていない本を読むことに意味を感じていた。それが古い本でも同じならこんないいことはない。
(記憶がこんなに曖昧だとは)
記憶力が落ちて来たのでそう思えるのだろうか?
しかし、一冊本を読みを終えて断片的な要約はできても、その本の論旨を一か月後にどれほど言えただろうか疑問だ。
元々、すぐに忘れていたと言えよう。
そしてまた新しい本を購入して行く。
本を買って積んで置くことが一種儀式化していてはいなかったのか。
興味のある本に出合うことは一期一会だから、その場で購入しなければ次に出会う確率は至極落ちる。
それは事実として、その脅迫観念に縛られていなかったか。
一方、本を捨てたり人にあげることはできない”たち”なので本は増える一方。
書棚を多く持てないため、棚に二重に本を入れる羽目になっている。そうなると奥の本の背表紙も見えない。
本を所有するということは、頭の中に全文記憶していなくても背表紙や表紙からその本の大まかな内容や折り目を詰めたページに飛ぶことができ引用できるところいい。全文を記憶する必要はない。
自分なりの記憶の仕方で「どこどこの棚のあの場所にあんな本があったな」という検索方法が確立できていればいいのだ。
だが、その棚の中にほとんど覚えていない本が多数あることが分かった。
もう、新しい本を買う必要はないのでは?
⁂
トイレで開いたページから栞が落ちた。
そこには、若かりし日に書いた一片の詩が”プリントごっご”で印刷されていた。
ひとりで見えない星があります
よっつの瞳ではじめて見える星があります
今 僕らとともに輝き出したこの新星に
新しい名前をつけて
大宇宙であらたな星座をつくります
結婚当時、ある作家の著述を貪るように読み、真似て詩を書いていた。
あれから30年経つのか・・・
はたして、この作家の他の本も読み続けることができようか。
自分自身が変わった部分もあるので、以前より共感できないところが多い・・・
また、新刊や古本を買うだろうな。
だが、図書館でも本屋でもない我が書棚を探索する必要はたしかにある。
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ロシアのウクライナ侵攻があったことで、思い立ち中国古典の『孫氏』を読んだ。
(ビギナー向け 角川ソフィア文庫/湯浅邦弘 孫氏・三十六計 別テキスト『三十六計』もパックになっていたので同時に読む)
兵法書の代表作ともいえる『孫氏』は春秋時代(前770年〜400年)に書かれたとあります。古いですね。
日本にも古くから入り兵法の手本とされた来ました。
読んでみると思ったより現実論的な展開でした。
「勝つ見込みのある戦いをする」「敵の情報を十分入れる」「長期戦は経済の痛手」「奇襲もあり」
「計画をたてよ」「王より将軍のいうこと聞け」などなど・・・
もともと好戦的な発想はないです。「しかたなし・・・」で戦うがそもそも負ける戦は意味がない。
「戦わずして勝つ」のがいい訳です。
この論でいくとロシアはまったくダメダメです。(ただし、ウクライナがいいという訳でもない)
相手の戦力分析が間違っていると戦えないのです。(戦前の日本軍も読み違えていましたね)
『孫氏』では、間諜(かんちょう)-スパイを使って敵の内部に潜り込むことを唱えていますが、儒教の影響もある「武士道」の精神では嫌われますね。「正々堂々」が潔いとされるからです。ただそれがエスカレートすると潔く死ぬという「精神論」に傾いて行き竹槍で飛行機を落とそうとしかねません。スパイ活動は相手を知るのが任務ですから、広義で外交につながります。武器を調達するより相手を知るのが先でしょうね。
そもそも「武士道」は武士の倫理観なので、江戸時代においては、全人口の7パーセントでしかない武士のものであって、80数パーセントいた百姓には直接には関係ないはずです。それが明治になると元武士により統率された日本軍ができあがり、徴兵された元百姓がそこで武士道を強要されるようになるのが、戦前の日本軍の原型なのではないかと私は読んでいますがどうでしょう?
一方、百姓は武士に憧れがあるものなのか。
(サムライという響きが好きなんかなぁ。サッカー日本代表のニックネームはサムライブルー。ほとんどの人は百姓の末裔なのに未だに侍をいいように思う傾向がある)
*
ちょっと強引に『孫氏』と『武士道』をつなげてしまった感がある・・・こんな簡単に論じられなかった。
いずれにしても個人の感情で兵を動かすのは「✕」。古今東西過去未来現在。
*
もう戦争なんかしてる時代でない。人類によって地球環境が変化してしまっているんだ。そこに輪をかける行為をするなんて愚か以外なにものでもない。
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ただ、仕事の手伝いをしたら相手から”最中(饅頭)”を頂いたことから「贈与論」のことを思い出したのでこの題目にした。「贈り物」だね。
名古屋の老舗和菓子屋の”最中”は甘さの中に品があり おいしくいただきました。
何かを頼んだり、お礼をしたり、するときに古い慣習として”饅頭”を持参することは、時代劇でもおなじみですね。
賄賂の性格を持たせるには、その”饅頭”の下に小判を潜ませればいい。
でも、それ以外は現金を介在すると「角が立つ」「野暮」「失礼に当たる」「受け取りにくい」から
「受け取りやすい」高級なお菓子が庶民の知恵として発達したと思われます。
”お金”の代わりとして”贈り物”が社会の潤滑油として機能しているのが分かります。
モースの「贈与論」には未開社会の、与える、受け取る、返礼、などの義務が論じられているようですが、
それも集落間の争いを避ける知恵として解析されているのが、印象深く残っていました。
ロシアにおけるウクライナ侵攻を憂う身としては、争いを避ける知恵が近代社会にも必要だ強く感じます。
資本主義の行き過ぎについては、民主主義国家も専制主義国家もキリスト教社会もイスラム教社会も関係なく
及んでいると思われます。そのうち息をするのもお金が必要になるかも・・・それくらいの危機感があります。
古代中国では周辺諸国の”みつぎもの”に対して倍の返礼品を返していたそうです。
ロシアもウクライナにそれくらいしてもよかったかも知れない。
軍事以外に争いを避ける方法を模索しなければ、また”大戦”に突入しかねません。
今こそ、「贈与論」の展開を求む。
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バブル当時は”バブル”とは言わなかったそうだ。
86年から91年にかけての日本の景気状況のこと。
弾けて初めてその認識が生まれたのだろう。(だから泡なんだ)
このところその時代を回想する番組やトークを耳にするが、当方には「浮かれた時代」を味わったことは皆無。
東京にいたにも関わらずアルバイト代が安く貧乏暮らしをしていた。
中間業者の建設会社にピンハネされたいたとも思える。
名古屋で活動していたバンド仲間と共に上京したのだが、作曲/宅録までは終えたが
ライブ活動する前に仲間とは仲たがいし、私は美術家としてパフォーマンス活動に移行していった。
週5日の遺跡発掘のアルバイトは肉体労働ゆえきつく、その疲れを癒すために人参と玉ねぎのかき揚げを肴に
安い焼酎を炭酸で割って酔いを早めた。
テレビではマハラジャのお立ち台ワンレンボディコンが扇子持って踊っている映像が流れていた。
よそ事だったね。
それでも深夜番組で”イカ天”が始まったときはそわそわしていた。
置いて行かれるような気分と憧れるような気分と交錯していた。
皆同じ世代の若者だった。彼らもまた貧乏だったにちがいない。
ニューヨークのビルを日本の企業が買いあさった。ゴッホまでもその対象になった。
それは「浮かれた時代」を象徴しているのだろう。真面目な若者はその現象を忌避していたと思う。
その証拠に精神世界に興味を持つものが私の周りに多数いた。
お金よりも心の充足を求めたいたに違いない。
1988年の8月8日に信州八ヶ岳で「命の祭り」が開かれた。
西荻のプラサード書店で情報を集めては、何とか参加しようしたが叶わなかった。(今でも悔やむ)
喜納昌吉、山口富士夫、喜太郎・・・たま も出ていたんじゃないか?
音楽だけでなくシンポジウムもあって「ヨガ」や「瞑想」それに「自然農」もあったと記憶する。
そうなんだ。音楽に興味がある人も「食」や「農」に関心が高かった。
身体を作る「食」とその安全と安心に惹かれ「農」に思いを馳せるのが、「命の祭り」のサブテーマだったように感じた。(それは各地で行われる野外フェスにも引き継がれている)
私は親友から「自然農法」の福岡正信さんを教えられ、さらに野草社刊 雑誌「80年代」で連載していた
「妙なる畑に立ちて」の自然農・川口由一さんを紹介されて現在に至るが、その時分はその界隈には
精神世界の標榜者が混じっていた。
推測するに勢力を拡大していたオーム真理教や幸福の科学の信者も、「命の祭り」や「自然農」の集まりに
参加していてたと思う。まだ清濁併せ呑むような混沌としていた時代だった。
だから、ときどき思う。私も紙一重だったのだと。
ついて行く人を間違えるととんでもないことになっていたぞ、と。
だが同時に私は決して間違えなかったとも思う。それは直感力がそうさせたのだ。
なんだこの人は怪しいと感じる力が、備わっていると思う。その違いは案外大きい。
バブルの影で私の人生を大きく変えた出来事が多々あった。
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野村茂雄訳の『老子』の30章を載せたのが、その最後に「31章も合わせて読んで欲しい」と記したので
ここにそれを載せます。
*
さて、立派な武器は不吉な道具で、人〈物〉はみなこれを嫌います。
そこでまともな道をも身につけた人は そのようなものを手にする立場にはおらないのです。
道理を知る人〈君子〉は普段の生活では左を上位にしますが、武器を使うときには右を上位として貴びます。
武器は手にするだけでも災いがやってくる道具で、道理をわきまえたの人の手にする道具ではありません。
(敵の攻撃をうけて)やむを得ず武器を使うことがあっても、最小限(身を守りため)あっさりと使うのが最上です。
もし戦って勝ってもよいことをしたとは思ってはなりません。
それなのに勝利をよいことにすれば、人を殺すことを楽しむことになるでしょう。
そもそも人を殺すことを楽しむような人には、天下を支配する願いなどかなえられません。
めでたい行事は左が上位、不祝儀〈凶事〉は左が上位となっております。
戦争の時には副将軍が左におり、総大将が右におるのは、葬式の礼に従っているからです。
戦って人を殺すことが多いと、心からの悲しみの気持ちで戦死者のために涙を流し、
戦争に勝利したときは正しい葬式の礼をもって とむらってやらなければなりません。
(『老子・荘子』 角川ソフィア文庫)
*
「凶」は「災い」だ。戦争は災い事であるから軍隊は葬儀のような形を表すのだろう。
そもそもそんなことははじめからやめたらいいのだ・・・・
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そのためかどうか分からないけれど、2021年の秋 どの家の柿の樹にもたわわに柿の実が生りました。
こういう年はめったにあるもんじゃない。30年弱この地に暮らしていますが、ここまで生ったのは初めてです。
甘柿はそのまま、渋柿は干し柿にして食しますが、いくら頑張っても到底取り切ることは不可能の数の柿の実。
田舎では食料を自給できるようにどこも複数の柿の樹が植えてあるので、相当の数の柿のが樹に残ったままになっていました。
残った柿は動物たちの餌になります。
樹になったままの状態では主に鳥たちが、下に落ちたものはタヌキなどが食べています。
熊が樹に上って食べるとの話を聞いたこともありますが、ここではそこまでのことはないようです。
仕事場の窓から一本の柿の樹が見えます。この柿の樹は小さい実をつけるのでもっぱら鳥用になっているのですが、今年は年を越しても実をつけていました。通常の冬ならお正月過ぎにはさっぱりと食べられてしまうのですが、この冬はあっちこっちの柿に樹に実が生っている状態なので残ったのです。
さて、面白い現象に気が付いたのは正月過ぎ。山手の柿の樹に鳥が群がっています。どうやらすぐ裏の森に身を隠せるのでそこから飛び出して来ては、実をついばんでいる様子です。その樹が裸になるとその隣の樹に移って来ました。そのうち仕事場から見える小さな実をつける柿の樹にもやってきて平らげてしまいました。
と言っても鳥は柿の実を全部食べてしまう訳ではないのです。熟した柿の実がその重力で垂れ下がって来ます。
鳥たちは絶えず周りを警戒しながら実をついばみますので、外界の変化を感じるといっせいに飛び立ちます。
すると梢(こずえ)がその反動で”しなって”動きますので、垂れ下がった柿の実がポツンと枝から外れて下に落ちてしまうのです。
鳥たちは実の半分も食べていないでしょう。樹の下には熟した柿の実が散乱しています。
(それをタヌキが食べに来ます)
さて、鳥たちの行動から彼らは身の安全を確保できる場所の近い柿から順々に実をついばんでいくことを知りました。
でも、それはなぜなのか?
以前観察した結果、一本の柿の樹へやって来る鳥の種類は、「ヒヨドリ」を大とすると中・小の鳥がいることが分かりました。大は樹の先端に、中はその中ほどに、小は内側の柿の実をついばむのです。鳥の種類によって食する柿の実の位置が違うのです。小さい鳥は大きな鳥がいない間に来てその残りをついばむこともありますが、基本的には梢が入り組んで大きいのが入りずらい場所を選んで飛んできてるようです。また飛来する順番は大きい鳥が強いので先で、その後中小の鳥がその残りを食することになります。
そうであるので、柿の実はたくさんあるのだから それぞれが違う柿を選んで食すればいいんじゃないか?と思っていまします。同じ樹にたかる必要はないのだから・・・・
でも実際はこの付近に生息する鳥は同じ樹を選ぶのです。
なぜなのか・・・・
これも身を守るためなのかなぁ。ここにはカラスや鳶など大型の鳥がいますから。
もっと観察してみますね。
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1月3日にNHKで放映された”欲望の資本主義2022”を録画したので先日観ました。
Eテレで放映されている”100分de名著”を模した形の演出で司会は伊集院光。
ゲストは4名でした。
経済思想家の斎藤幸平。英文学者の小川公代。アナキズム研究者の栗原康。小説家の高橋源一郎。
コロナ禍の社会情勢についてそれぞれトークされました。
斉藤さんは突如現れたマルクス研究者でお若い学者さん。全共闘世代が学んだ共産主義とは一味も
ふた味も違う解釈で環境問題をも網羅する学説にびっくりされた方も多かろうと思いました。
「人新世の資本主義」がベストセラーになりましたね。
小川さんは女性視点で古典を読み解きました。
高橋さんは朝日新聞の論壇コラムで自分にとってお馴染みで、弱者視点で社会を分析されています。
彼の小説は苦手ですが、NHK AMで番組”飛ぶ教室”を持っておられこちらは好きな番組です。
高橋さんだけ私より年上でした。
栗原さんが番組内でアナキストを自称されたのには驚きましたね。
私は若いとき、ルドルフ・シュタイナーに影響されて”個人主義的無政府主義者”と名乗ることがカッコいい
と思っていましたが、気が小さくて人前で披露できませんでしたから。
暮れから最近出版された「くらしのアナキズム」松村圭一郎 著を読んでいたので、一瞬 栗原さんと松村さんを
同一人物かと勘違いしました。そんな短期間に”アナキズム”という語が世間で聞かれるなんて
想像できなかったからです。
私はパンクの洗礼を受けています。
Sex Pistols 「Anarchy In The UK」や元祖日本のパンク 頭脳警察「銃を取れ」を
自身のレパートリーとしてきました。
赤軍とかアナキストはパンクと親和性が高いと認識しています。でもそれは’’80のこと。
最近の若い人は政治に関心が薄いしコミュニズムやアナキズムは彼らにとって過去のものだと踏んでました。
それが若い学者さんがこれを語るのですから、一回りして新時代が来たのかなぁ。
たしかに環境問題は若い人にとって最大の問題と言っていいかと思いますので、それにリンクする
コミュニズムやアナキズムが復活してもちっともおかしくないでしょうね。
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県下の全小学校のPTA会長が勢ぞろいする大会なのだが、そこで思ったことがある。
どの人も威勢がいい。
いやいやながらも会長に押されてその職に就いたなら会を治めなくてはならない。
当然リーダーシップが求められるし、その資質がある人が推挙されるであろう。
そんな人の集まりだから元気がいいのは当たり前か。
特に壇上にいる人はPTA連合会の会長たち執行部だからテンションはアゲアゲだろう。
私も保育園の保護者会 市の連合会執行部の要職に(順巡りの当て職だったが)就いたとき
会長はじめ皆からバンバン意見が出てきたことを思い出す。
責任感と高揚感がそうさせたのか。
PTAなどの会長職は、会社でいえば管理職級の人材だってことを実感した。
ただし、これは会社でない。子どもの育成/教育の携わる職だ。営利を求める訳ではない。
子どもを取り巻く環境に意見/立案していく団体だから、学校及び教育委員会、市や県、国に提言していくので、
どうしても政治的になる傾向がある。とおもう。
政治的といえば、その目で見てみるとなにやら彼らが(私も?)将来の市会議員候補に思えてきた。
ポジティブで目立ちがりやで正義感があり声高に自分の意見を主張できる人たちの集まりだからだ。
ただ気になったのはPTAの運営の骨子は学校の先生が作ってくれ、PTA役員はそれ認証したりアレンジしたり
することが多く、自ら立案することは少ないという事実。その理由の多くはPTA役員はそれぞれ会社や家庭で
仕事を抱えており、時間的の制約からなかなか運営の中身にまで踏み込んでいけないからだろう。
このPTA連合会もそのようで、執行部の背後に教育委員会などが見え隠れしていた。
(驚いたのが大会の宣言文で軍人の名句を採用していたこと。これはある先生の下書きをそのまま流用したらしい。
いいんかな?教育の場においてはふさわしくないんじゃないかと一応意見しました)
将来の議員候補であることは問題ないとしても、素案のまとめや文言を市の職員や県の職員、はたまた官僚に
求めるようなことがないようにしてもらいたいな。
リーダーシップとは元気で声高な資質だけではないぞ、と当時会場で思ったものでした。
選挙があるたびにそのときのことを思い出してしまう。
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革命の国の中国で激しい所得格差が起きていることに起因する。
革命により共産主義になった国では、ある程度富の分配が平等に行われるのが
建前上でもあるのかと思っていたのが、”?小平”が市場経済を導入し
みるみるうちに億万長者が生まれ、中国は共産党が支配する資本主義国家になったと
「違いねぇ」と感じるからその矛盾をつきたくなった。
あまりにも激しい貧富の差が生ずれば、なまじ革命を経験している国家だけ、
再び底辺層による「革命」が生じる可能性があるのではないか?と感じる。
ただ、どうやら”辛亥革命”はロシアでの革命の動機と随分違うみたいだ。
農奴解放というより儒教とマルクス主義の親和性が背景にある模様。
さて、今世紀の話題は中国抜きには語れないだろう。
米国は中国を「専制主義」国家と呼び対決姿勢を鮮明にした。
近年の中国の台頭は著しいので、どの国も警戒感を持つのは仕方ないだろうね。
私が子供の頃観た報道番組で中国を映せば、カメラに興味を持つ人民がその前に群がって
後進国であることを強く印象付けられたものだ。その感覚を引きずり「劣っている国=中国」
の図から抜け出せないから、現在の中国に恐れを抱いていると思われる。
ところで、中国は四大文明のひとつと数えられていることは中学の歴史で
だれもが学んだこと。日本との関係も深く、日本人が日本人であると自ら認識できたのは
古い中国のおかげであることは間違いない。遣唐使や遣隋使がはじまる以前にも大陸からなにかしら
の伝播はあったことは稲や里芋の伝来からも明らかで、縄文から弥生に至るにあたってその変化の
重要なファクターを数々もたらしただろう。
仏教や儒教は中国から伝わった。日本は中国をお手本にしてきた時代の方が長かったに違いない。
日清戦争に勝利したからとて「劣っている国=中国」とは明治以降のおごった認識だと私は思う。
歴史の蓄積はけた違いだろう。(だからといって日本に独自性がない訳ではなく江戸中期に
おこった「国学」がそれを証明している)
問題は現在の中国が、自らの蓄積を正しく使えているかということだ。
中国の価値観はたしかに欧米の民主主義国家とは違う。中華思想は完成されている。
ただし、彼らが欧州の思考に侵させた状態で中華思想を重ねれば、それは本来の中華思想
を間違って運用していると言えないだろうか?
革命を経て西洋的思考を身の内に取り込んでしまってる身では、その中華思想も西洋風に
アレンジされてしまっていて、偉そうに”中国4000年の歴史”と喧伝できないのでは、と思う。
国学でいう「からごころ」を排した「やまとたましい」を表したように、中国共産党から
「西洋思想」を排した「たましい(それは残念ながら「漢民族のたましい」となってしまうが)」
を表さないと、なにが中華思想かと思わずにいられない。
日本は中国との縁は切ってもきれない。米国との付き合いはこの国の歴史を思うとあまりにも
短い。たしかに民主主義は素晴らしい。我が国も本物の民主主義国家になって欲しいものだ。
しかし、だからといって中国と覇権主義を争う紛争に巻き込まれぬのは御免被りたい。
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豊田市美術館で開催されている”ボイス+パレルモ”展へ行って来ました。
豊田市美術館は中部圏ではいい企画を連発している美術館で、今回の企画も素晴らしい。ありがとうと言いたい です。
BEUYSの作品を観るのは数十年前に東京のワタリウム美術館以来でした。作品集にある写真でしか知らなかった作品もいくつか実際に見ることができて感激です。といいつつ、この時代の多くのアーティストの作品は「ありがたかって観るものじゃない」とも思ってしまいます。単にモノが並べられているだけで人の営みが薄いから(パーフォーマンスは肉体行為ですが)です。ドローイングは肉筆ですが、電話中に無造作に描くの悪戯書きみたいにも見えます。(と、やっとボイスからの呪縛を逃れたので辛辣なコメントを書いてしまいました。でもその悪戯がいいのですとフォロー)
ボイスっていうのはカッコいいんですよ。どこをどう切り取ってもサマになるのです。ポスターにサインしただけでも作品として成立してしまいます。こんなことができるのは、ボイスとアンディ・ウォーホールしかいないでは?そう考えた時、ボイスが”ロックスター”に見えてきました。彼が現れると地場に変化を与えオーラが漂う、コヨーテの遠吠えが会場を包む。まさにカリスマのロックスターそのものです。
パレルモはボイスの教え子だそうですが、作品が似ていないので好印象を持ちました。弟子は師匠の影響から逃れられないので、どうしても似た作品を作ってしまうものです。そうでないところがボイスも買っていたのかも知れませんね。
美術館のSHOPでは、ボイスの評論集のほかシュタイナー関連の著書も並べられていました。ボイスの作品を観る限りシュタイナーの影響を感じたりしませんが、その思想を消化しているからこそ自由自在に展開できるものなのでしょう。
会場には美大生を思しき人が多々みえましたが、若い人はボイスをどのように見ているんでしょうかね。ロックスター的ならば現在もその魅力を放っていることは間違いないと思うのですが、パフォーマンスビデオはその内容がミニマムであるのでついて来れるかな?またその思想を再解釈するためのテキストが日本では時とともに減っているのでハードルが高くなっていないかな?などと危惧もしますが、若い感性で作品から何かを感じ取って彼らの表現に生かしてくれるだろうからそれも杞憂かも知れません。
展示会最後の部屋にボイスが日本に招かれたときに使った黒板の作品があり、そこには「帽意子」「暮椅子」「墓異州」と漢字で名前が書かれていました。きっと日本の友人がボイスに漢字の当て字を教えたんでしょうね。そこから気に入ったの選んだと思われますが、なかなか奥が深い当て字だと感心しました。「帽意子」はトレードマークの帽子から、「暮椅子」は脂肪の乗った椅子かな。では「墓異州」とは? 私はユーラシアを駆けめぐるウサギを思い浮べましたが、「墓」の当て字とは、このとき自分の死を予感していたのかどうか・・・ラストをかざる作品からそれも想起させる展示内容でした。
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ロシアの「二月革命」「十月革命」についてよく知らない。
レーニンについてほとんど解らないし、スターリンと言えば遠藤ミチロウのパンクバンドのことだった。
トロッキーは、スターリンとの跡目争いに敗れメキシコに亡命しディエゴ・リベラの妻フリーダ・カーロと
不倫していたことは、メキシコ好きなので知っていたぐらい。
美術史の方が興味があってロシア・アバンギャルドや第3インターナショナル記念塔が好きだった。
レーニンは若い日にマルクスを知ったという。一方、ローサルクセンブルグはドイツでの革命が失敗して虐殺された
という。(ちなみに、私にとってローザルクセンブルクとは「どんと」率いるバンドのことで一押しであった)
さて、ソ連が崩壊したときのことは覚えている。その情報を名古屋のギャラリーASGの2階にあった飲み屋
「がらん屋」で興奮しながら聞いた。その後、知人からベルリンの壁の破片をもらったな。
ペレストロイカのゴルバチョフとポーランドのワレサの名を80年代終わりから90年はじめにしばしば聞いた。
ロシア皇帝を追い落とした労働者と農民がロシア革命を起こしソビエト連邦を樹立させたが、共産党の支配によって
経済活動の不調が続いたことと西側からの情報化の波がソ連を崩壊させたのだろう。
ソビエト連邦がロシア連邦になったところでプーチンが出てきた。
そのロシアがきな臭い。プーチンはあの手この手で憲法を改正し2036年まで大統領に居座ることに成功した。
政敵になりそうなアレクセイ・ナワリヌイに毒を盛ったとうわさされるが、そのやり口は信長がいた戦国時代なみだ。
*
最近、若手の学者 斎藤幸平が注目されている。Eテレで放映された”100分で名著”という番組で「資本論」の解説
をしていたのを観た。マルクスの著した「資本論」の新解釈が彼の学説であるのだが、とても説得力がある。
資本主義の国々では、共産主義は嫌われ者だ。それを著したマルクスを研究することを選んだ斎藤氏とは、何者
なんだろう?その彼の学説やひいてはマルクスの主張がやっと現代に追いついてきたのか・・・とても面白い。
*
ユーラシア大陸、その中でもロシアはとくに広い。ロシアに国らしいものが生まれのはほかのヨーロッパの国々と
比較して遅かったという。寒さのせいか? シベリアで捕れる毛皮が重要な資金源であったそうだ。
寒いということは農業生産性が上がらないと同じ意味なので、その貧しさが革命の遠因になっているだろう。
ロシアの冬は今年も続く。プーチン政権下でKAKUMEIが再び起こっても不思議ではない、かも。
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