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2012.06.28 Thursday

第8話

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     もう一人挙げるとすると、詩人でもありブルースマンでもある友部正人さんでしょう。


    たくさんのレコード、CDを発表された歌手でもありますが、詩集も思潮社から出版されています。


    18歳でURCレーベルのアルバム「にんじん」に出逢い、50になる現在まで新譜を聴き続けられる唯一のアーティストです。そう、アーティストと呼ぶの相応しい。


    ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがアートの匂いがするように、友部さんの作品には知的な仕掛けがあってアートの匂いがします。


    空間的には都会的。ただし東京なら新宿界隈またはニューヨーク・ソーホー的。時に函館や長崎をも感じるけれどコーヒーと本の匂いも付きまといます。


    言葉と音楽、特にギター片手の弾き語りスタイルはずっと変わりません。


    最初のインパクトが「にんじん」に収録されている「乾杯」、この曲は連合赤軍浅間山荘事件の一日を歌っているのですが、その事件への私的なアプローチが強烈な事件を第三者の目線で詩的に分解していて抜群です。


    「乾杯」からの抜粋


    電気屋の前に30人ぐらいの人だかり 割り込んでぼくもその中に
    「連合赤軍5人逮捕 泰子さんは無事救出されました」
    金メダルでもとったかのようなアナウンサー
    かわいそうにと誰かが言い 殺してしまえとまた誰か
    やり場のなかったヒューマニズムが今やっと電気屋の店先で花開く
    いっぱい飲もうかと思っていつものやき鳥屋に
    するとそこでもまた店の人たち
    ニュースに気を取られて注文も取りにこない
    お人好しの酔っぱらいこういう時に限ってしらふ
    ついさっきは 
    駅で腹を押さえて倒れていた労務者にはさわろうともしなかったくせに
    泰子さんにだけはさわりたいらしい


    ニュースが長かった2月28日をしめくくろうとしている
    死んだ警官が気の毒です 犯人は人間じゃありませんって
    でもぼく思うんだやつら ニュース解説者のように情にもろく 
    やたら情にもろくなくてよかったって
    どうして言えるんだい やつらが狂暴だって
    新聞はうすぎたない涙を高く積み上げ 今や正義の立て役者
    見だしだけでもってる週刊誌 
    もっとでっかい活字はないものかと頭をかかえてる
    整列して機動隊 胸に花をかざりワイセツな賛美歌を口ずさんでいる
    裁判官は両手を椅子にまたがせ 今夜も法律の避妊手術
    巻き返しをねらう評論家たち
    明日の朝が勝負だとどこもかしこも電話は鳴りっぱなし
    結局その日の終わりとりのこされたのは
    朝から晩までポカーンと口を開けてテレビを見ていたぼくぐらいのもの


    中略


    誰かさんが誰かさんの鼻を切り落とす 
    鼻は床の上でハナシイと言って泣く
    誰かさんが誰かさんの耳を切り落とす 
    耳はテーブルの上でミミシイと言って泣く
    誰かさんが誰かさんの口を切り落とす 
    口は他人のクツの上でクチオシイと言って泣く
    ぼくは戸を横にあけて表に出たんだ するとそこには
    耳も鼻も口もないきれいな人間たちが
    右手にはし 左手に茶わんを持って 
    新宿駅に向かって行進しているのを見た


    おお せつなやポッポー 500円分に切符をくだせえ



    店主はこの
    「鼻は床の上でハナシイと言って泣く
     耳はテーブルの上でミミシイと言って泣く」
    という比喩表現に出逢い、初めて「詩」を意識しました。


    谷川俊太郎も友部さんを高く評価している詩人の一人ですが、その詩のリズムは音楽的で似ている感じもあります。


    谷川さんは詩人として生計を立てている日本唯一の詩人ですが、やはり処女詩集からして違います。
    「二十億光年の孤独」・・・・処女詩集の題名ですが、これだけでもはや詩と呼べます。この題名をモチーフにした題目を数限りなくあるでしょう。


    詩の題だけで詩を形成してしまう点では、友部さんも谷川級です。


    ・地球のいちばんはげた場所
    ・けらいのひとりもいない大様
    ・びっこのポーの最後
    ・まちは裸ですわりこんでいる
    ・男は女である
    ・わからない言葉で歌ってください
    ・遠い国の日時計
    ・朝は詩人
    等々、いっぱいあります。


    詩があるうえメロディーもある、こんなに素敵なことはありません。


    長すぎてそらんじて歌えなかったりするのは愛嬌で、その詩はメロディと共に脳裏でリフレインしています。


    最近メジャーレーベルからアルバムが出なくて自主レーベルが多いのが少し心配ですが、プロミュージシャンにも多大な影響を与え続けているアーティストとして、いつまでもアルバムを発表してもらい支持して行きたいです。


    支持とは、つまりアルバムを買う、という行為のことです。

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    ギター工房9notesホームページへどうぞ


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