たなごころ
本屋へ行くと昔の名残りでインテリア雑誌を片っ端から読む癖が抜けないです。
ギターリペアマンとして工房を運営する前に『家具工房』を営んでいたからです。
ギターリペアも家具製作も『木工』が基本です。
私はパイプオルガン工房出身で、キャビティ(家具)を持つ楽器作りを習いましたが、
同時に木工の基本を同じ村に住む指物師に学び『木工』の基本を叩き込まれました。
楽器も家具も『木』が相手の仕事なのでこのスタートは幸運だったと思います。(そう思いたい)
*
雑誌の中では、『木工家・家具職人』の特集をやっていました。
「みんな頑張っているなぁ」と素直に喜ばしい気持ちを持ちつつ、同時に
「数年後これで食って行ける人はわずかだろう」と思わずにいられなかったです。
それほど、個人で顧客を得てオーダー家具製作を続けるのが困難な時代であることを
肌身で知っているからです。
私が家具製作を続けられなくなった理由は、経営能力不足・腕の未熟さからですが、
’08年の『リーマンショック』が大きかったのも否めません。
購買層が縮小したり、家具を扱うギャラリーが減少したりして新規のお客さんに
出会う機会が劇的に減ってしまったのです。
しかしながら、どんな時代であっても購買層がなくなることはなく一定の層は絶えずあるので、
その層にアピールできる製作を続ければ食っていけるのは間違いないと思われます。
現在工房を運営している皆さんには是非頑張って欲しいです。(偉そうに言ってすみません)
*
雑誌の中の『工芸』作品を眺めていると気持ちが癒されます。(だから読むのかな)
『工芸』はいいなぁ。
”たなごころ”を感じるからでしょうか?
”たなごころ”は『掌』と書きますが、同時に”てのひら”とも読みます。
こっちの方が一般的ですね。”たなごころ”は『手の心』の意だといいます。
『工芸』の中に”こころ”を感じることができるから癒されるのかも知れません。
陶芸・木工/家具・漆器・染色/織物・などなど かつては日常品だった道具/モノたちが、
現在は工業製品に追われて身の回りから失われてしまいました。
失われた破片(ピース)を求めて『工芸』を欲するのでしょうか?
*
私は日頃 ギター/楽器を扱っていますが、そのほとんどがメーカー製のファクトリーメイドです。
その多くに残念ながら”たなごころ”を感じません。
それが時間を経ち傷や手垢がつくにしたがい、次第に”掌(たなごころ)の玉”のような存在になって
来るから不思議です。
工業製品くささが失なわれて”たなごころ”を感じるようになって来るのです。
人間味のある道具/モノとして”こころ”が通じあうようになり、
滋味ある存在として慈しみの対象に昇華するのを感じます。
モノに心が通じ魂がこもるのでしょうか?
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