百味箪笥
黒澤明監督の映画『赤ひげ』をパロディー化したサントリーの胡麻麦茶のCM。
その中で使われているセットは、百味箪笥に囲まれた治療室でした。
赤ひげ先生の時代設定は江戸時代後半だと思いますが、その時代の医療は「漢方」でありました。
約2000年前に中国大陸で起った「漢王朝」時代に完成し、日本には奈良時代に僧によってもたらされます。
同じく朝鮮半島にも「漢方」は伝わっています。ドラマ『チャングム』の中でも漢方薬が使われていましたね。
その時代の朝鮮半島は「李氏朝鮮」で「李王朝」が国を納めていました。
朝鮮半島の冬が厳しいゆえか、その時代に発達した脚付き家具があります。
(オンドルが床を通っているので、家具は床付けでなく浮かす構造で脚がつくようになったといわれる)
「李朝家具」と呼ばれ現代の洋風式の暮らしにもマッチするので人気がある家具で、デザインも洗練されています。
その「李朝家具」に漢方生薬を入れた「薬箪笥」があります。
抽斗がたくさんついているので「百味箪笥」とも呼ばれています。
抽斗の大きさは上の段ほど小さく、下の段ほど大きく作られていて、大きな抽斗にはよく使う生薬が入っていました。
「甘草(かんぞう)」は大きい抽斗に入っています。多くの処方に組み合わせてあるので使用量が多いのでしょう。
「葛根(かっこん)」も大きな抽斗でした。(扉に漢字で生薬名が書かれているので中身が分るようになっている)
でも、なぜ「葛根(かっこん)」の使用量が多いのだろう?
「風邪の引きはじめに葛根湯」と宣伝文句で多くの人が知っている処方ですが、
これは比較的丈夫な人(実証という)が使う風邪薬で、弱っている人冷えてる人(虚証という)が使う風邪薬では
ありません。そう考えると江戸時代は比較的頑丈な身体の人間が多かったことになります。
庶民が冬に暖を取る用具は「手あぶり」ぐらいしかなかったと聞きますから、当時に人々は寒さに相当強かった
のでは?と想像します。肌も分厚かったのでしょうか?
そんな人が流感に掛かると「寒さがひどく、汗もかかず、脈もコツコツと浮いて、うなじや腰が凝った」状態に
なってはじめて、赤ひげ先生が「葛根湯」を処方してくれたんじゃないですか。
間違っても風邪だからとだれにでも「葛根湯」を出していたなんてことはありません。
その人その人にあった処方を証立て(病のあるところを見極め立てた答え)できるのが名医ですから。
落語にある「葛根医」は、だれにでも「葛根湯」を出していたから藪医者の代名詞になったんです。
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