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2013.08.22 Thursday

村上隆と岡潔

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    村上隆と岡潔 08:34
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      「作家の村上」と言えば「村上春樹」が一番最初に浮かぶ名前で、少しひねって「村上龍」を思い浮かべるのが順当ですが、現代美術作家の村上と言えば「村上隆」でしょう。


      物書き以外にも作家という名称を使うこともあります。


      この現代美術作家の村上隆氏の作品が、ザザビーズのオークションで日本人最高値の落札で一時有名になりましたが、多くの方が作品はご存知ないと思います。(裸のフィギアが16億円で落札された。)


      それほど、現代美術は「生活」とかけ離れたところで動いています。


      村上隆氏の絵画で覚えやすいものが、アコースティック・デュオ「ゆず」のジャケットにもなった「笑い顔の花のイラスト」だろうと思いますが、どうでしょう?
      ほかに高級ブランド「ルイ・ヴィトン」とのコラボレーションも話題になりました。


      本も3冊上梓していますが、最新刊はビジネス書のたぐいで、美術作家の枠を超えています。枠を超えながら閉塞観のある日本の美術界に、ケンカを売っているようなタイプの本になっています。


      村上氏の説によると、現代美術界に身を置くものは、そのハンドルを欧米人に握られているいじょう西欧の美術概念にのっとって勝負をしろ、と言っているのだろうと思います。芸術は貧乏でいいとか、自由だとか言ってないで、ルールを知った上で戦略を立てろ、と。


      さて、私のコメントは後にして「岡潔」氏について。


      岡潔氏は、戦前から戦後まで数学の世界で世界的な業績をあげた「数学者」です。
      「高等数学」という、一般人には到底理解不可能なところにいた方ですが、仏教哲学者の一面もあり、戦後に随筆風の著作を残し、その名前が一般に知られました。


      人間の中心を『情』であると捉えているところが、普通の数学者との決定的な違いであると私は考えています。


      岡氏が評論家「小林秀雄」と対談した著書『人間の建設』の中で、ピカソの絵画を『無明』であると言っています。芸術家の『個性』を自己中心的な『小我』だと切って捨てています。


      仏教用語・大我に対する小我。小我から来るものは醜悪だけだと・・・


      私の知る限りこういう論調でピカソを評論しているのは、この著書が最初だと思います。
      美術を少しはかじったものにとってピカソは、マルセル・デュシャンと並ぶほどの重要人物なので、切って捨てることなどできないのです。


      しかし素の眼で見れば、ピカソの「アビニヨンの娘たち」なんておかしな絵ですよね。
      芸術作品を美醜を見極める眼でもって、鑑賞することが本来普通のはずです。


      村上隆と岡潔を対比させている意図は、『無明』を顕在化させることです。『無明』とは「明かりが無い世界」で「暗い世界」ですが、村上隆の世界も『無明』であると言えます。いや彼だけでなく多くの現代美術の作品は、醜悪で無明です。


      かくういう私も、その世界の端っこにいましたので、そんな作品を発表してきた張本人でもあります。ただ村上隆氏のように成功はしませんでしたが・・・私が作品を発表し出した頃、村上隆氏もタミヤのフィギア作品でデビューしました。まだ方法論が確立する以前で、当時は村上氏よりも森村泰昌や中原浩大・宮島達男らの方が評価が高かったと思います。


      村上隆氏はそこから戦略を立てて、死にもの狂いで制作に打ち込んで来たことは想像に難くないし、私も少なからずシンパシーを氏に感じています。だから村上氏が次に画策している次の計画、「日本人芸術家を世界的にする」に岡潔氏の視点を加えてくれたならば、と夢想してしまうのです。

      村上氏が柳宗悦の『民藝』を評価している点などそんな余地もあるのではないかと・・・


      ところで岡潔氏が亡くなってもう何十年になろうとしているのに、岡氏の著作が未だ売れ続けているそうです。先にこのブログでも取り上げた『松丸本舗』の人気ベスト100の上位に岡氏の本が入っていました。


      多くの方が『情』を人間の中心に据えた「教育」「生き方」に共鳴しているのではないか、と推測しています。『情』が薄れ『知』と『意』に偏った現代の流れを察知している方々は、案外多いのかもしれません。


      そうであれば、今も悪臭を放ちながら驀進している『現代美術』に、人間の中心『情』から警笛を鳴らすことは可能か、と一抹の光を感じる次第です。

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