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2016.01.05 Tuesday

「音を見る」

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    ブックレビュー
    「”何故、音楽は輝り輝き、美しい形態を創るのか”  音響のモルフォロジー
                                   前田保夫 著

    旧知の書店主から自費出版の本を貰った。「君なら面白く読むかもしれない・・・」
    それが『音響のモルフォロジー』だった。

    楽器の仕事をしているから「音響」に多少係わりがあるかも知れない。
    しかし、ぱらぱらとページをめくって解ったことがある。
    これは「シュタイナー」関連の本だってことが。挿絵のからそれが推測できる。
    「シュタイナー」の色彩が使われているからだ。

    その書店は「シュタイナー関連」の本が充実しいるうえ、店主はその道の研究家だ。
    だからこの自費出版本がここにあるのだろう。
    ただ、戴いた本は難敵なのは解っていた。さわりを読んでもちっとも理解できなかったから。

    本棚に積んどいて数年経った。 そろそろ読むか。

    手懸りは小見出しにある「カンディンスキーは音を見ていたか」にある。
    「音を見る」このことがこの本の主要テーマであることに違いない。
    まともに掛かったら、理解不可能であろうが、「カンディンスキー」の絵画は知っているので
    彼の抽象画が「音」に関するのなら入って行けるかも知れない。

    ところで、皆さんは「ルドルフ・シュタイナー」をご存知だろうか?
    第一次世界大戦前後に活躍したオーストリア人の神秘思想家で、ゲーテ研究からはじまり
    ドイツで人智学「アントロポゾフィー」を創始した人物。

    超感覚世界(目に見えない世界)を扱うのでオカルトチックだが、
    実際、霊的なものの存在を抜きにシュタイナーは語れない。

    ドイツでは彼の影響を受けた芸術家も多く、作家では「モモ」や「はてしない物語」の
    「ミヒャエル・エンデ」。
    美術では「ヨゼフ・ボイス」などがいる。ボイスは「ナムジュン・パイク」と近しかったし
    「ジョン・ケージ」など「フルクサス」運動にも係わりがあるので、
    音楽家にもシュタイナーを知る者があっただろう。

    さて、『音響のモルフォジー』だが、著者の前田氏は「音が見える」ようになったことから、
    その意味を調べるようになったと言う。
    「カンディンスキーが音を見た」と知ったことから巡って「シュタイナー」に出会っているようだ。
    そのほか、「パウロ・クレー」や「武満徹」の名前もこの本でたびたび出てくる。

    「音が見える」段階も1・2・3と順を踏んでおり、それをシュタイナーの言説に置き換えてある。
    そのものの説明は、手におえないので放棄するが、音が立体的に色彩を帯びて上昇する様は、
    この文章を読んでいてもワクワクした。

    音がドームを形つくるとか、時間軸のそって形態が変化するとか、
    まるで私にはオーロラのように感じられた。また「思い」を込めた音楽は、
    その演奏者によって変幻自在するようだ。

    「どんなだか、見てみたい」そう思う。
    そこで「カンディンスキー」の絵画を想像すれば距離が縮まって来るだろうか。
    抽象絵画だからいくつもの想像の余地を残してあるが、
    「印象派」みたいな光の表現には到達していないように感じる。

    それにしても、「音を見る」なんてことがあるか否かなんて想像もしなかった。
    「音は見えない」と信じこんでいたからだ。しかし、「言葉」が風に乗って世界を巡るとか、
    「言霊」が現象に影響を与える、とかいうことは言われていた。

    それが光に変わったとて不思議はない。
    私には音楽が上昇する感じは持っていたし、天から降ってくる音楽もイメージできる。
    超感覚世界(目に見えない世界)は、感じ得ないが、芸術にとってそれが源泉である
    とは理解している一人だ。

    それと、この本では「内面への旅」についても展開されていた。
    これも私には理解力が足らないのでうまく説明ができないが、
    「悟りの要素」を内包している感じだった。

    仏教の修行の中で「光」を見る瞬間があることは知られている。
    「悟り」に至る道が修行でそれを見るのだ。

    ふつう見えないはずの「音」が空間に見えるということは、空間に「光」を発してのことだと思う。
    それを「超感覚」と結びつけて説明するのも、「内面への旅」が「光」と関係していることも、
    「宇宙に存在する人間」を知る上で関連があるように思う。

    映画「スターウォーズ」ではないが、最近この世が「ダークサイト」に侵されているように感じる。
    「光と影」は一体のように思うかも知れないが、それは「発光体」から照らされた物体の現象であって、
    「発光体」そのものに「影」は存在しない。

    人間が「光る」存在であれば、「ダークサイト」はありえない。

    「音が見える」から「宇宙に存在する人間」の本性を知るきっかけになれば、
    難儀して読んだこの本が光輝くときがくるかも知れぬ。


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